平成15年10月24日
芸術の秋
〜繊細な美術品〜
芸術の秋、美術館では大きな展覧会も多い季節。
ただ人の出入りが多いということは、美術館の空気の出入りも多く、展示品の保存にはより注意を払う時期。
というのも、美術品は温度や湿度に非常に敏感。
例えば油絵は、気温が高いと固まっていた絵の具が柔らかくなるなど影響が出る。
また湿度の変化は、キャンパスがたるんだり、逆に張りすぎてカッターで切られたように裂けることもある。
そこで国際的な基準では、温度は20〜22度(作品の多いヨーロッパの気候に合わせて)、
湿度も材質によるが大体50%前後となっている(油絵は50〜55%)。
兎に角、温度・湿度を一定にすることが一番大事。
国立西洋美術館では、温度は夏23度・冬21度、湿度は53%で一定にしている。
今から8年ほど前までは、暖房(冬)と冷房(夏)による8時間空調だった。
ただ24時間空調でも20〜30%程度のコスト増で済むことから、24時間空調を実現、
さらに現在では、完全コンピューター制御となっている。
なお春、秋は、日によって暖房と冷房を使い分ける必要があることから、気象情報をにらんで
最も気を使う時期だった。今は、乾燥した秋晴れの時は、普段の3倍程の空気を換気に取り入れるなど、
季節の空気をうまく利用している。
爽やかな秋晴れは、鑑賞する我々だけでなく、美術品にとっても快適の季節。